日本人のふしあわせ・国際東洋医学会学術大会に参加して

去る七月二十四日(金)から二十六日(日)まで(日本日時は二十五日~二十七日に相当)の三日間、米国・ラスベガスのモンテカルロ・リゾートホテル内コンベンションルームに於いて、第九回国際東洋医学会・学術大会が開催された。にほんからも、十五人程の研究者が、遙るばる(と感じながら)参加して、学会の雰囲気にひたって(というより、熱気に圧倒されて)来た。

日本の緩急芍薬甘草湯の発表も何題かあったが、大部分は米国在住の韓国系の韓医師と、韓国本国から参加した韓医師の研究発表であった。台湾からの参加も二十五人程あり、研究発表もあったので、多分、世界各地からの参加者や発表者がいたと思われるが、筆者の目には入らない程のことであった。

というのは、アメリカ合衆国内での学会であるから、会場内は当然英語で満たされるものだと思っていたのだが、驚いたことに、言語は殆ど韓国語が行き交っていて、発表も殆どが韓国語で行われていた。英語の発表を筆者が聞いたのは、日本と一部台湾の研究者のものであった。

何故、此の様な状況になったのかを考えてみた。その第一は、韓国の本国から、150人もの多数の韓医師が参加したことに依ると思われる。(日本からの参加者は、その十分の一であった)。此の韓国パワーに、筆者は正に圧倒されたのである。

然しながら一面ではまた、更に感動することがあった。それは、開会式・セレモニーの始めに、全員が起立して、設置してあったアメリカ合衆国国旗に、敬意を表する儀式を行ったことである。此のことは、韓国や台湾で開かれた学会でも、見たことだったが。今、日本人は、国家を忘れ、国旗、国歌を否定するのが、進歩的思想だと考えているようだ。しかしそれによって、大きな不幸に繋がっていることを知らない。

韓国ソウルの学会へ、初めて行ったのは、随分昔のことになったが、その時、韓国韓医師(その頃は漢医師と言っていたと思う)の一人が、こういうことを笑い話のように話してくれた。「韓国の民衆は、病気になると、先ず韓医師にかかります。大抵は治るけれど、治らないような重病になると病院へ行きます。そして入院することになると、一族全員が集まって、泣きながら水杯をして送るのです」と。今でもそうなのか、真偽のの程は知らないが、韓国民衆の、漢方に寄せる信頼の程が分かるように思う。

翻って日本のことを考えてみよう。風邪を引いてもすぐに行くのは近所の医師で、出来れば大学病院まで行ってしまう。しかし、現代医学には風邪の薬はない。だから、抗生剤、解熱鎮痛剤、等を投与される。そして治るのに何日もかから。こじれれば一月以上も遷延する。

これを、漢方で正しい治療をすれば、引いたばかりの風邪なら一服で長くても二・三日で治る。うそではない。慢性の難病、難症も、漢方治療で快復、延命する例は幾らもある。筆者自身多くの症例がある。浅田宗伯翁の治験を持ち出すまでもない。

漢方医学、医療の常識は、現代医学の常識外、いわば非常識なのだ。だから、漢方医学に行為を持った学者でさえ、「漢方の限界は此處迄」などと云う。筆者は常に云っている。「それは、その人の限界。漢方には無限の可能性がある。但しその可能性は、医者の精進、錬磨によって引き出されるのだが」と。

漢方に対する常識も信頼も、日本人は明治以後失ってしまった。不幸なことである。そして今、国家を忘れようとしている。大きな不幸である。

98-9月

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